第二の故郷に出会う
「つくばっく」という言葉をご存知だろうか。元々は学生が帰省先などからつくばに戻ることを指していた。しかし近年はそれに留まらず、他の地域で就職した卒業生がつくばに再移住することも指すそうだ。ふと帰りたくなる第二の故郷、それがつくばであり、根幹にあるのが深い大学愛である。
それでは、この帰属意識はどこから来るのだろうか。そのヒントが豊富な「科学教育活動」にある。高校生を対象とした「オープンキャンパス」や「サイエンスキャンプ」、市民向けの「バイオeカフェ」、退官された先生が主催する小中学生向け科学講座「サイエンス・キッズ」など幅広い。
これらの活動では、科学や生物学の魅力を伝えるべく、事前の準備から当日運営まで、学生と教職員とが密に連携し、時には学類一丸となって共通課題を乗り越える。この一連のプロセスが一体感を醸成する。特に生物学類はこのような経験に恵まれており、学生と教職員との距離が近く、学生同士のタテの繋がりも強い。実際に、学類1年生から博士3年生、さらには卒業生までが集まる懇親会が開催されたり、実習をやっていると聞きつけると近所の研究室から先輩が遊びに来たり、逆に遊びに行ったりと、非常に密な関係になっている。
研究に対する意欲の高い学生は、筑波大学先導的研究者体験プログラム(ARE)や生物学類研究マインド応援プログラムなどの制度を使って入学してすぐに研究室に通うことが可能だが、生物学類にはこの土壌があるおかげで、入学間もない状況であっても、近所の研究室に行って先生や先輩に相談ができてしまう。行き詰まったときに親身に話し合える人が近くにいるのは、研究を進めるうえで大きな力になる。
好きなことに好きなだけ向き合え、それを人に伝え、高め合える風土が、学生たちの心を掴んで離さない魅力の一つになっているのではないだろうか。